2013年6月7日

好きな音楽を今日のポップ・ミュージックとして再生される細野晴臣ならではの視点が魅力のカヴァー・アルバム!

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細野晴臣『Heavenly Music』
◎細野さんが『HoSoNoVa』(下段写真)以来2年ぶりとなるニュー・アルバム『Heavenly Music』(右写真)をリリースした。『HoSoNoVa』ははっぴいえんど以来初めての本格的ヴォーカル・アルバムということで大きな話題を呼んだわけだが、その意味では今作は続編か? と想像する人もいるだろう。しかし、そこは細野さんのこと。単なる二番煎じになるはずもなく、新たなテーマをもったこれまた興味深い内容になっている。簡単にいえば今作はカヴァー・アルバムだ。収められているナンバーには近年の細野さんのライヴで披露されているものも多く、個人的にそれらに接してきて聴き覚えのあるナンバーもチラホラと。たとえば1曲目のバカラック・ナンバー「Close To You」はジム・オルークのバカラック・プロジェクトで細野さんが歌っていたものだが、その時は歌詞を“Close To Me”と変えて歌っていたものを今回、オリジナルの“Close To You”に戻して収録してある。これはデモ・テープにジムが冗談で歌詞を変えていたものを細野さんがマジメに再現したことから起こったハプニングだった、と。今回の資料で初めて知った。クラフトワークの「Radio Activity」は日比谷野音で聴いた。たしかまだ震災の記憶も新しい時期だったと思う。まるで白昼夢のように歌われるその曲を聞きながら、原発について深く考えさせられたっけ。

収録曲は細野さんのアンテナに引っかかったちょっと気になったものばかり。20年代のワルツから40年代の古いジャズやミュージカル曲、さらにザ・バンドやボブ・ディランの曲など、その選曲基準は細野さんにしかわからないけれど、古い曲も知らないという意味で新しい曲と等価という、リスナーとしてのオープンな姿勢がそこにはあるにちがいない。このアルバムを聞いていて連想したのは最近のエリック・クラプトンのこと。彼もまたもう興味のあることしか演る気しないという姿勢を強く滲ませているが、ここでの細野さんにも近しい感覚が見出せるように思うのだ。言っておくが枯れてきたとかそんなマイナスの思考ではない。“音楽王”にしてようやく至った音楽と向き合う楽しさ。こうしたものが溢れているじつに素敵なアルバムだ。各曲の解説は細野さん自身がブックレットで詳細に解説されているのでそちらを参照していただきたい。[廣川 裕/SD164]

CD:『HoSoNoVa』スピードスター/ビクター / VIJL-60126(2011年)

以下のURLにて、「The House of Blue Lights」のミュージックビデオを観ることができます。
http://www.daisyworld.co.jp/

Official: http://www.hosonoharuomi.com/