2013年10月14日

ザ・ルーツとのコラボという異色作ながらロックンロールの魅力の根源にせまるエルヴィス・コステロの渾身作!

エルヴィス・コステロ&ザ・ルーツ『ワイズ・アップ・ゴースト』
◎今冬には世界中で話題を呼んでいる“Spinning Wheel Tour”で来日する予定のエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)。これはステージ上に用意された彼の代表曲が書かれたルーレットを、選ばれた観客が回し、アットランダムに選ばれたその曲をすぐに演奏するというもので、これに先だって超限定で同アイデアの限定CDボックスも発売されていた。ぼくはその限定盤の方もなんとか入手できたのだが、一度開けるとしまうのが面倒なので一度っきり開封しただけ。というくだらないはなしは置いておくとして、言いたかったのは相変わらずすごい発想力と実行力でロックしているなぁ、ということ。そして、そんな信じられないエネルギーを象徴するよな新作がなんとブルーノートからリリースされた。

とはいってもご覧いただけば分かるようにこれはコステロの単独作ではない。ヒップホップ・バンドの代表格ザ・ルーツ(The Roots)の頭脳クエストラヴ(?uestlove)との共同プロデュースで制作されたもので演奏はザ・ルーツが手がけている。予想外とも思えるこのコラボだが、そもそもは2009年にザ・ルーツがハウスバンドを務めるテレビ番組『レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン』にコステロが出演し、共演したのがきっかけとか。もともとクエストラヴは自称“エルヴィス・フリーク”を自認するくらいのコステロ・ファンで、その際過激なコステロ作品のヴァージョンを作り、これを聞いたコステロがいたく気に入ったことからスタートしたプロジェクトなのだとか。

コステロは本作について“こちらとあちらを結ぶ最短距離”であり“リズムと読み物の両方が含まれている”というコメントを出しているが、こちらとはロックであり、あちらはヒップホップというのはわかりやすく、リズムはもちろんザ・ルーツの繰り出す多彩なグルーヴ、読み物というのはコステロの紡ぐ楽曲のテーマと解することができる。要するに両者が遠慮することなく互いの個性をぶつけあったガチンコな作品であり、よくあるコラボ作のようなラグジュアリーなものじゃなく真剣そのものの空気で満たされたアルバムということ。じっさいコステロの唄いっぷりもここ最近になく怒気を孕んだようにテンション高いし、ザ・ルーツの演奏もしかり。そして紛れもなくロックンロール・アルバムとして成立していることに感動する。[廣川 裕/SD168]

Official: http://www.elviscostello.com/micro/wise-up-ghost/