2013年11月2日

オルガンと出会い、スウィンギン・ロンドンを代表する存在となった“ブライアン・オーガー”初期の魅力が閉じ込められた、初期レア・トラック集!

ブライアン・オーガー『ザ・モッド・イヤーズ』
◎最近はクラブに足を運ぶこともほとんどなくなったけど、若い友人によると数こそ減ったけれど、いまだにクラブは重要な音楽情報発信の場であり、同時に新しい音楽・未知の音楽と出会う体験の場として機能しているという。DJがスピンする盤もジャンル、アーティストともにかなり様変わりしているのではないかと想像しているのだが、変わらずに、いわば定番的にズーッと回されているアーティストもおり、ブライアン・オーガー(Brian Auger)などもそうしたひとりということだ。考えてみればアシッド・ジャズ期に再発見されたのが今日までつながるオーガー再評価の起点だったはずで、あれからももう20年以上経過しているのだから、定番化しているというのはファンのひとりとしてじつにうれしい事実だ。

そんなブライアン・オーガーだが、彼の代名詞ともいえるバンド、トリニティー(Brian Auger Trinity)を再編するなど、ここにきてまた意欲的な姿勢で活動を活発化させている。そして、国内でもそうした彼の意欲に呼応するようにカタログの再発が進行している。本紙13年9月号(No.166)で先に紹介したオーガー名義の新作『ランゲージ・オブ・ザ・ハート(Language Of The Heart)』(※下段写真)もその1枚だが、今度は初期音源をまとめた『ザ・モッド・イヤーズ(The Mod Years)』(※右上写真)と先に触れたトリニティーを率いての新作『モッド・パーティー(Mod Party)』(※下段写真)が同時リリースとなる。この3作、いってみればオーガーの過去と現在の姿を刻んでいるわけで、最近ファンになったというリスナーからヴェテランのファンともに要チェックな作品ということができる。

『ザ・モッド・イヤーズ』にはオーガーのデビュー曲「Fool Killer」をはじめ65年から69年までのシングル曲、さらにスティームパケット(Steampacket)時代の音源などのレア・トラック計21曲を収めており、ジャズ・ピアニストとしてデビューして以降、オルガンと出会い、スウィンギン・ロンドンを代表する存在にまでなるオーガー初期の魅力が閉じ込められている。ロックに加え、ジャズ、R&B、ブルース、ラテンなど様々な音楽を貪欲に取り込み“ブレイン・ドレイン”と称された当時のオーガーのヒップな音楽マインドを堪能できるだろう。

一方、再編トリニティーによるニュー・アルバム『モッド・パーティー』にはオーガーの娘サヴァンナ・グレイス・オーガー(Savannah Grace)のヴォーカルをフィーチャー。モッド時代の代表的ナンバーを新たにレコーディングし直したもの。プロデュースを担当し、ドラムも叩いているカーマ・オーガー(Karma Auger)は息子であり、ファミリー作品といった趣もあるのが特徴。収録曲はオリジナルとはかなりアレンジも変えてあり、このプロダクトに寄せるオーガーの意気込みも伝わるが、彼のグルーヴィーなオルガンの音色は不変だ。[廣川 裕/SD168]

CD:『Language Of The Heart』VSCD-4213/『Mod Party』VSCD-4215

Official: http://www.brianauger.com/