2013年11月3日

1977年発表、アラン・パーソンズ・プロジェクトのセカンド『アイ・ロボット』35周年記念レガシー・エディションがリリースされた!

◎1977年発表、アラン・パーソンズ・プロジジェクト(The Alan Parsons Project)の2作目がリリース35周年記念レガシー・エディション(2CD/※右上写真)としてリリースされた。当時の邦題は『私はロボット』。アラン・パーソンズ(Alan Parsons)と故エリック・ウルフソン(Eric Woolfson/2009年に死去)がアシモフ(Isaac Asimov)のSF小説『われはロボット(I, Robot)』にインスパイアされて制作した近未来への警鐘を促すコンセプト作である。ジャケは35周年記念デザイン。オリジナル・アート(※下段写真)はヒプノシス(Hipgnosis)で、近未来的なデザインは彼らのミステリアスで未来的なサウンドをよく表していた。そしてパイロット(Pilot)のメンバーや複数ヴォーカリストの参加といった、のちの彼らの作品に重要な役割を果たす基本作となったことはいうまでもない。

今回の最新リマスター音源によるブルースペック盤で改めて聴いてみると情報量の多さもさることながら、計算され尽くされ、こだわり抜いた音の煌めきにはっとする瞬間が幾多もあることに驚かされた。特に「アイ・ロボット(I Robot)」での斬新なシンセ・サウンドや女性ヴォイス、「サム・アザー・タイム(Some Other Time)」での巧みなヴォーカル・リレーや重層的なサウンド、「何も見たくない(Don’t Let it Show)」でのオルガンや重厚なオーケストラによる展開、趣向を凝らした「闇からの声(The Voice)」~音響効果が際立つ「核(Nucleus)」へと至るクリスタルな煌めき、「創世記(Genesis Ch.1 V.32)」でのシンセ・シーケンスと絡み合う荘厳なオーケストラとコーラス・ワークなど、鋭角的でありながら包み込む優雅さとたおやかな音の流れが彼らの豊かな創造性と人間性を反映しているようで興味深い。アラン・パーソンズのエンジニアとしての面目躍如たる最高の仕事が刻み込まれている。彼らの作品こそ5・1でのサラウンド・ミックスを期待したいところだ。

そして幻の追加音源だが、5曲はかつての30周年記念時にリリースされたものと同じで、今回追加収録された9曲を合わせて聴くと本作がいかに産み出されていったのかが理解できる興味深いものとなっている。特にラストの10分に渡る「ネイキッド・ロボット(The Naked Robot)」は興味深く、初期段階のミックスをメドレーで繋ぎあわせているものだ。76~77年というプログレが衰退していく時代にこのような斬新なサウンドを産み落としたことは驚嘆に値するだろう。緻密に構成され計算され尽くしており、35年という時間の変遷を感じさせない。今でも近未来へと連なる未来派作品である。21世紀になって聴き直してみるとこの作品の凄さと恐ろしさに改めて気づかされた。プログレッシヴでありながら適度にポップで、ロックのダイナミズムとアカデミックさを危ういバランス感覚で均衡させている。それはまさに新たな時代の幕開けを象徴しているかのようだ。しかも予見したかのように時代はSFブームが訪れていた。[祖父尼 淳/SD169]

LP (Original Cover):『I Robot』Arista / SPARTY 1012 / 1977

Official: http://www.the-alan-parsons-project.com/
http://www.sonymusic.co.jp/artist/AlanParsonsProject/