2014年1月18日

ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロックの頂点であるノヴェラ“Novela”の全貌を収めた究極のボックス・セットが登場!

◎ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロックの頂点であるノヴェラ(Novela)の全貌を収めた究極のボックス・セットが登場した。実はノヴェラがボックス・セットをリリースするのは2回目で、前回はヴィジュアル系方面からの再評価の声が高まりはじめていた1998年のことだった。CD13枚組の98年版『コンプリート・スタジオ・レコーディングス1980-1986』は速攻で売り切れ、最近まで中古市場で高値が付いていたのはファンの方ならばご存知だろう。筆者も発売日に購入して大切に保管してきたが、それでも今回の『NOVELA SPECIAL BOX~director’s edition』はゲットせずにはいられない。なぜならば、今回のボックスはパッケージ/音質/収録内容がグレード・アップされた“最後の超豪華版”だからである。

ディスク1~11はデビュー作『魅惑劇』からラスト作『ワーズ』までのオリジナル・アルバムと企画作『最終戦争伝説』『最終戦争伝説パート2』を含むスタジオ録音アルバムが収録されている。今回のセールス・ポイントはディレクター氏が“LP発売時、本当はこうしたかった! 当時は予算の都合上不可能だったのだ”とコメントするように、オリジナルLPジャケット完全再現に加えて美麗にヴィニール・コーティングされたA式を採用した紙ジャケットであることだ。発売当時の凝りまくった帯はもちろんのこと、2作目『イン・ザ・ナイト~星降る夜のおとぎ話』の青く光る銀ジャケットも再現されているのが嬉しい。『青の肖像』、『ランド・オブ・タイム』などのミニ・アルバムや「マジカル・アクション!!」「ジェラシー」といったシングルのデフジャケが特別に封入されているのもマニア心をくすぐる(音源自体はディスク12『シークレット・テイクス』にまとめて収録)。

音源は2013年最新デジタル・マスタリングが使用され、旧版CDでは少し抜けの悪さや線の細さが気になった平山照継のギターと五十嵐久勝のヴォーカルが改善されており、さらには永川敏郎のアナログ・シンセサイザーが圧倒的な遠近感を伴って宙を舞うサウンドも堪能できる。荘厳なナンバーを集めたコンピレーション作のディスク13『シンフォニック・ワールド』は“他の作品と異なるスペシャルでシンフォニックなリマスタリング”によって、アナログ盤では不可能だった繊細さと荒々しさが同居したノヴェラ流プログレッシヴ・ワールドが体現されているのも見事だ。『魅惑劇』でのメロトロン使用頻度の高さや、3作目『パラダイス・ロスト』におけるクイーンを意識したコーラス・ワークが立体的に迫りくる音作り、『サンクチュアリ』から加入した笹井りゅうじ&西田竜一によるリズム・セクションの技巧の高さなど、聴きなれた作品でも新鮮に響くのは最新リマスタリング効果だろう。特筆すべきは、ニューウェイヴ/エレクトロ・ポップに接近したサウンドで当時のファンから拒否反応もあった第3期ノヴェラ『ブレイン・オブ・バランス(均衡の脳)』『ワーズ』の2作品が、今回のリマスタリングとの相性が抜群であることだ。メロディとアレンジのみならず“音響”も加味して評価されるべき作品だったにもかかわらず、当時の一般的なオーディオ・システムでは再生が困難だったために商業的には不発に終わってしまったということだろう。平山が90年代的な“音響の妙味”を見据えたサウンド作りに挑んでいたことは、新たな発見であった。本稿執筆時では試聴用CD-Rのため体感はできなかったが、製品版ではノヴェラ初のSHM-CD採用による高域のクリアネスと充実した低域にも期待がふくらむ。

今回のボックス・セットの凄さはスタジオ作品だけでは終わらない。旧ボックスには入っていなかった2枚組ライヴ盤『フロム・ザ・ミスティック・ワールド~スーパー・ライヴ・ショウ~』がディスク6と7で完全収録されているのだ。ノヴェラ全盛期の1984年2月大阪厚生年金会館と中野サンプラザでのステージをまとめた本ライヴ盤のCDは、しばらく入手困難状態が続いていたので、やっと聴けるようになったのが嬉しい。オリジナル・アナログ盤では初回限定ソノシートでの収録だったラスト曲「イリュージョン」も含む完全版であるのはもちろんのこと、全体的に今ひとつ音抜けがよくなかったサウンドを大幅に改善したマスタリングであるのも快挙といえるものである。本作はライヴだからといって後回しにしてよいものではなく、この時期のステージでしか演奏されなかったナンバーを収録した重要アルバムである。

Bonus DVD:『 ザ・ミスティック・ライブ・ショウ』/Bonus CD『シェラザード デモ』

そして本ボックスの目玉ともいえるのが、2月27日中野サンプラザ公演の映像作品『ザ・ミスティック・ライヴ・ショウ』のボーナスDVDである。ライヴ会場販売およびファンクラブ限定で少数が流通した幻のライヴ・ヴィデオが、ついにDVD化となる! 白いコスチュームに身を包んだ美麗青年たちが繰り広げるステージの素晴らしさの前には、カメラ数の少なさやアンコール未収録という点はまったく気にならない。ジャパニーズ・プログレで東京・大阪のホール会場を埋めることができたのはノヴェラだけだったという事実を認識しつつ、次々に難曲が再現されるスーパー・ライヴを追体験してほしい。本ボックスのダメ押しというべきものがボーナスCDとしてディスク14に収録された『シェラザード・デモ(カセット・テープ77&78)』で、ノヴェラの前身バンド、シェラザード(Scheherazade)の貴重なデモ音源が初CD化となる。第2期ノヴェラで完成する欧州浪漫プログレッシヴ・ロックの原型が提示されているのには、彼らの底知れぬ才能を認識するのに充分である。音楽性やテクニック、ルックスや人気、そしてセールス面においても空前絶後の実績を持つジャパニーズ・プログレの金字塔ノヴェラの作品は、何度もリマスターや紙ジャケで再発されてきたが、今回のボックスは最強と呼べるものとなった。リアルタイムで彼らを愛好してきたファンはもちろんのこと、いわゆる“ヴィジュアル系の元祖”あるいは“ジャパニーズ・メタルの重鎮”といった方面からノヴェラを知った後追いファンにとっても待望のボックス・セットとなるだろう。 [鬼形 智/SD171]

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