2014年3月13日

オランダの誇る超絶アコースティック・プログレ・サーカス・バンド、“フレアーク(Flairck)”の旧6作品が再発された!

フレアーク『ヴァリエイションズ・オン・ア・レディ』
◎オランダの誇る超絶アコースティック・プログレ・サーカス・バンド、フレアーク(Flairck)が久々の来日を果たした。それに併せて旧6作品が再発された。フレアークは1977年にギタリストのエリック・ヴィッサー(Erik Visser)を中心に、ハンス・ヴィッサー(Hans Visser/ベース)、ピーター・ウィーカース(Peter Weekers/フルート)、ジュディ・ションペール(Judy Schomper/ヴァイオリン)の4人で結成。翌78年に『ヴァリエイションズ・オン・ア・レディ(Variaties Op Een Dame)』(※右上写真)をリリースする。彼らが当初表現しようとしたのはルネッサンス時代の古楽を当時の楽器を用いて限りなく当時のままに演奏することだった。ここを原点に彼らは音楽性を発展させ、クラシックや古楽、民族音楽をベースにジャズ、ロック、ブルース、ケルト、バルカン、ジプシーなど世界の様々な音楽の要素を取り込んで、自らのアイデンティティで独自の進化を遂げ、唯一無二の音楽性を築き上げていったのである。

彼らが日本の地を初めて踏んだのが90年。これは一般向けではなくプロモーション的なもので、この時の一部は『アライヴ(Alive)』(90年/※下段写真)にも収録されている。一般的な初来日公演は1991年で、翌92年にも再来日している。某皇室関係の方も来賓していた。筆者は2回とも見たが、彼らの超絶技巧の演奏のみならずサーカス的なパフォーマンスに驚愕したことを思い出す。特に91年の類い稀なパフォーマンスの素晴らしさとポスターの美しさは今や伝説となっている。92年に傑作『パレード(De Optocht)』(※下段写真)をリリース。この後大幅なメンバー再編をおこない、『Kamers/Chambers』(94年)、ライヴ盤『En Vivo En Chille』(95年)、『De Gouden Eeuw』(96年)、『Cuerpos Tocados:Music For The Body』(98年)、『Symphony For The Old World』(2000年)をリリースするもその後は活動自体も伝わってこない状況が続いていた。2011年に『Frairck & Basily-Global Orchestra』 がリリースされ、20年ぶりの来日を果たした。彼らはレコードというよりライヴ・パフォーマンス・バンドであり、驚愕の超絶技巧を凝らした演奏とエンタテイメント性溢れるパフォーマンスを見せてくれた。

今回来日記念盤として再発された6作品を紹介しておこう。すべてリマスター、SHM-CD、紙ジャケット仕様となっている。『ヴァリエイションズ・オン・ア・レディ』は彼らの記念すべきデビュー作で、彼らが目指したルネッサンス時代の古楽を現代に甦らすべく民族楽器を用いて超絶技巧を駆使し、唯一無二の世界を確立している。代表曲「プレリュード・イン・ソフィア」(日本のプログレ・バンド、ケンソー〈KENSO〉もカヴァー)、大曲「ヴァリエイションズ・オン・ア・レディ」を収録。

80年リリースのセカンド『天使との戦い(Gevecht Met De Engel)』(※下段写真)では、ヴァイオリンがジュディからシルヴィア・ホウトザッハー(Sylvia Houtzager)へ交代。オープニングの「イースト・ウェスト・エクスプレス」や大曲組曲「天使の分け前との戦い」を収録。80年にはライヴ盤『Live In Amsterdam』、81年には『サーカス(Circus)』(※下段写真)を発表する。このアルバムからバンドにとって重要なメンバーとなるピッコロやフルートなどの管楽器奏者アネット・ヴィッサー(Annet Visser)と各種パーカッションを担当するテッド・デ・ヨン(Ted De Jong)が加入。アルバム・タイトルどおりサーカスのような曲芸的サウンドとパフォーマンスが堂に入り、円熟した演奏を聞かせてくれる。4幕構成の代表曲「サーカス」を収録。82年にシルヴィアも復活してのジョルジュ・ムスタキとの共演盤『Moustaki & Frairck』、オーケストラとの共演ライヴ盤『Frairck & Orkest』(82年)をリリース。この後ハンスとアネットが抜け、エリックとシルヴィア、テッド(Ted De Jong)の3人に新たなメンバーを加えて84年に『Bal Masque』をリリース。85年にハンス脱退後のオーケストラとの共演ライヴ盤『Encore』、86年にはエリック、ピーター、シルヴィア、スタン・ストーク(Stan Stolk/B)、ロベルト・ヴィンク(Robert Vink/パーカッション)という布陣でゲストにマギー・ライリー(Maggie Reilly)を迎え『Sleight Of Hand』をリリースする。

89年に結成10周年記念と通算10作目を掛け合わせた『10』(※下段写真)をリリースする。翌年に『ジ・エミグラント(The Emigrant )』として再発された。今回はオリジナル・ジャケでの再発。パーカッションがローランド・ストーク(Roland Stolk)へ交代し、ストリングス・クァルテットを導入。よりシンフォニックな味わいが増して全体的にも落ち着いた佇まいの作品となっている。『10』には収録されていなかった「ソフィア」の7インチ、12インチ・リミックスをボーナスとして収録。90年にリリースされたライヴ・ベスト盤『アライヴ』は89、90年におこなわれたオランダ、ドイツ、日本でのライヴを収録した2枚組。デビューから前作までの楽曲を取り上げたベストともいえる選曲でフレアークの魅力を伝えてくれる。再び4人メンバーに戻って楽器を様々に持ち替えながらも素晴らしいテクニックとアンサンブルで聞かせる超絶技巧の演奏は凄まじい。来日公演後にリリースされた92年リリースの傑作『パレード(De Oplocht)』(※下段写真)ではシルヴィアが抜け、アネット(Annet Visser)とローレ・トリッテン(Lorre Trytten/ヴァイオリン)が加入。プロデュースとキーボードにカヤック(Kayak)のトン・スケルペンツェル(Ton Scherpenzeel)が参加。ボッシュの絵画をモチーフにしたコンセプト作で、ストリングスも加えシンフォ・プログレ色を強めた作品。この頃が彼らの最も充実した円熟期であったといえよう。[祖父尼 淳/SD173]

同時発売CD:※全てベル・アンティーク/マーキーより発売中[SHM-CD,紙]
『Gevecht Met De Engel 天使との戦い』BELLE-142203
『Circus』BELLE-142204
『10(The Emigrant)』BELLE-142195
『Alive』BELLE-142196~7
『De Oplocht パレード』BELLE-142198

Official Website:
http://www.flairck.com/