2014年8月3日

栗コーダーカルテットが活動20年を記念し、2枚組のベスト・アルバムをリリースした!

栗コーダーカルテット 20 周年ベスト』
◎1994年に結成された栗コーダーカルテットが、活動20年を記念して発表した2枚組のベスト盤。ディスク1は彼らのオリジナル・ソングの中から20曲をコンパイルしたもので、彼らの名が広く知られるようになったきっかけの一つ、NHK ETV「ピタゴラスイッチ」のオープニング・テーマから、彼らが音楽を担当した映画『山形スクリーム』、アニメ『つり球』などの楽曲が収められている。脱力系サウンドが人気の彼らだが、メンバーそれぞれが演奏家、作曲家としても一流の腕を持つ。オリジナル・ソングを聴くと、なぜ彼らが20年もの間絶えまなく活動を続けて来られたかがわかる。それはユーモアたっぷりのサウンドの中に、アーティストとして真摯に音楽に対峙する姿を見て取ることができるからだ。今日本で一番忙しいアーティスト集団、栗コーダーカルテットの秘密がこのディスク1にあると見た。

かわってディスク2は、お馴染みのカヴァー曲を集めたもので、「聖地エルサレム」「ショパンのエチュード〈蝶々〉」といったクラシックから、「やさしさに包まれたなら」「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」などのスタンダード曲、さらに「陽気なブースカ」「鉄腕アトム」「ウルトラセブンの歌」といったアニメや特撮もの、そして彼らの出世作とも言える「帝国のマーチ」や「刑事コロンボ」を収録している。彼ら自身は、脱力系サウンド(強固なものを骨抜きにしたようなサウンド、あるいは権力を失墜させるようなアレンジ)を狙って作ったわけではないというが、これらのカヴァー曲を聴くと、彼らが「帝国のマーチ」や「ハイウェイスター」をもし演奏してなかったとしても、その独特のハーモニーは遅かれ早かれ話題となっていたハズだ。

リコーダーやウクレレを使ったサウンドはかわいらしく、普段音楽をあまり聴かないリスナーにとってはとても親しみやすい(思わず笑ってしまう)。栗コーダーが人気を得ているのは、彼らの音楽に触れる人たちが、一様に癒されるような生音にあり、また男性4人が小さな楽器を一生懸命演奏する姿は微笑ましくもあるからだろう。デジタル楽器が全盛の時代、ハード・エッジなポスト・ロックが闊歩する音楽シーンにあっては、まさに栗コーダーカルテットの存在は貴重であり、オリジナリティの獲得が困難な時代において、彼らは唯一記名性溢れるサウンドを作り出しているグループといっても間違いではない。栗コーダーカルテットの進撃はまだまだ続く(と思う)。

本作の初回限定盤として2013年のクリスマス・コンサートの模様を収録したDVDが付いた3枚組も同時発売されている。 [岩本晃市郎/SD178]

 

足/栗コーダーカルテット

Official Website:
http://www.kuricorder.com/