2014年8月9日

現在のロック・シーンにおける最重要アーティストの1人、ジャック・ホワイトがセカンド・ソロ『ラザレット』を発表!

◎私的感想だが、今年上半期はとても秀作が多く、極めて満足度が高い。そんな中でもかなりな勢いで上位にランクするのがこのジャック・ホワイト(Jack White)2年ぶりのソロだ。前作のファースト・ソロ作『ブランダーバス(Blunderbuss)』が非常に完成度が高く、しかも大ヒットしただけにこのセカンドには多少なりともプレッシャーがあったろうとは思われるが、そんな姿をまったく感じさせない高いテンションと思いっきりの良い美学が炸裂しまくる。

離婚したり、たまたま19歳の時に書いた小説を読み返したこともあって、今回は彼にしては珍しくじっくり曲作りに取り組み、レコーディングも、これまでにないほど時間をかけておこなったという。それでももちろんジャックならではの狂騒テイストは濃厚に全体を覆っているのだが、それに加えてスケール感のあるトータリティが色濃く漂っているのが特徴。原点のホワイト・ストライプス(The White Stripes)をあげるまでもなく彼は直感的なアーティストだし、それが魅力であるわけだが、ここではその部分を失うことなく込み入ったソングライティングやアレンジ、サウンド作りを実現しているのだ。言葉にすれば簡単だが、実際の音に仕上げていくことは至難だし、アルバム一枚をまとめるのはさらに難しいと思うが、じつに楽しそうにそこをクリアしている。

本来のテイストであるガレージ・パンクの勢いを持ったハードな曲調や得意のカントリー・ブルーズ的なテイストを埋め込んだナンバーは、安定した魅力を発散しているし、巧みにルーツ・ロック的なアプローチを聞かせるあたり、さすが若々しく見えても10数年のキャリアを誇るベテランならでは。しかも先日出たニール・ヤング(Neil Young)の『ア・レター・ホーム(A Letter Home)』を録った録音機の提供などの交流でもわかるように独自の道という意味では大先輩のニールにも通じるノイジーなアクセントもなかなかキュートだし、アナログ盤の仕掛けもマニアにはたまらない。

またフィドル&ヴォーカルのリトル・メイ(Lillie Mae Risch)やドラムスのカーラ・アザール(Carla Azar)など、相変わらず女性プレイヤーたちの使い方がみごとで、なんとも言えない空間を創り上げている。確かに前作の親しみやすさみたいなものからすると戸惑うかもしれないが、それは聴き手自身の奥行きの問題で、この進化はみごとのひと言。 [大鷹俊一/SD178]

Jack White – “High Ball Stepper” (Lazaretto Album Track)
(C) 2014 Third Man Records under exclusive license to XL Recordings ltd / Columbia Records, a division of Sony Music Entertainment

Official Website:
http://jackwhiteiii.com/