2014年9月7日

60~70年代の英ロック・シーンにおいて独自のサウンドで人気を博した、ファミリーの代表2作品が再発!

◎ファミリー(Family)と聞くと、多くのリスナーがまず連想するのはあのロジャー・チャップマン(Roger Chapman)の強烈なダミ声ヴォーカルだろう。イガイガとのどの奥を刺すようなその歌声は個性的なヴォーカリストには事欠かないブリティッシュ・ロック・シーンにあっても一際個性的。おまけに震えるような細かいヴィブラートまでかけられているのだから、それはキャラも立とうというもの。ファミリーというバンドを受容できるか否かは、ひとえにチャップマンのヴォーカルを楽しめるかどうか、極論すればそういうことになるだろう。しかし、ならばなぜここまでファミリーというバンドの存在感が揺るぎないのか。それは、チャップマンのヴォーカルの個性とともにサウンド面において正しくブリティッシュ・ロックの王道を貫いていたからに他ならない。このたびそのファミリーの代表作2作が国内仕様の紙ジャケット、デジパックにてリイシューされた。過去に紙ジャケ化されてはいるが、そちらはとうに廃盤なのでこの機にぜひ未聴の方はチェックしてみていただきたい。

『ア・ソング・フォー・ミー(A Song For Me)』(70年/※右上写真)はサード・アルバム。あまりチャート的には縁のないバンドと思われがちなファミリーだが、今作は英国チャートで4位を記録。彼らとしては最大のヒット作となった。リック・グレッチ(Rick Grech)がブラインド・フェイス(Blind Faith)に参加するため脱退し、後任にジョン・ヴェイダー(John Weider/ベース、ヴァイオリン)が加わり、同時にキーボード、フルート、ヴィブラフォンを操るマルチ奏者のポリ・パーマー(Poli Palmer)が新加入しての録音だ。メンバー交代により、使用楽器の幅が広がったため、サウンドのカラーは従来以上に多彩になった感はあるが、ファミリーといえば、というチャップマンのヴォーカルとチャーリー・ホイットニー(Charlie Whitney)のグルーヴ感たっぷりのギターももちろん大活躍する。ヴェイダーのヴァイオリンをフィーチャーした長尺のタイトル曲が白眉だろう。全体スケール感を増しているのはたしかである。

『バンドスタンド(Bandstand)』(72年/※下段写真)はTV型の変形ジャケットでそちら方面のコレクターにも人気ある6作目。ジョン・ウェットン(John Wetton)とロブ・タウンゼント(Rob Townsend)という新しいリズム隊が繰り出すグルーヴはもうファンクといっていいほど重心低いが、これはチャップマンのヴォーカルをさらに際立たせるという点で効果的だった。とはいってもキーボードやメロディはたまらなく英国的で、アコースティックな「マイ・フレンド・ザ・サン」や黄昏たムード横溢する「戴冠式(Coronation)」など、名曲も収録している。本作レコーディング中、ウェットンはキング・クリムゾン(King Crimson)加入を打診されていたという、いわくつきのアルバムでもある。[廣川 裕/SD179]

Album:『Bandstand』WHD / IECP-10302[2CD]※2014年7月16日同時発売

Family “Drowned In Wine”Live television performance from 1970.

Official Website:
http://www.familybandstand.com/