2014年9月20日

70年代アメリカン・プログレッシヴ・ロック・グループ、ファイアーバレー(Fireballet)の2作品が正規世界初CD化!

ファイアーバレー『はげ山の一夜』『ツー・ツー』
◎70年代アメリカン・プログレッシヴ・ロックにおけるファイアーバレー(Fireballet)の立ち位置は特殊である。50年代の現代音楽や60年代のサイケデリック・ロックとヨーロッパのプログレッシヴ・ロックが大西洋を往来することで融合し生まれた米国プログレの大半が、そのルーツにアメリカならではのカントリー/フォーク/ジャズの要素を持っているのに対し、ファイアーバレーは完全なる英国/ヨーロッパ志向の作品を生み出したからだ。カンサス(Kansas)やボストン(Boston)やスティクス(Styx)といった米プログレを代表するバンドは、その音楽性に多かれ少なかれアメリカン・ロックの要素を持っているが、ファイアーバレーが残した2枚のアルバムにはイエス(Yes)とジェネシス(Genesis)のマニアによる研究発表の成果といった純粋プログレッシヴ・ロック・サウンドが刻まれている。

元キング・クリムゾン(King Crimson)のイアン・マクドナルド(Ian McDonald)をプロデューサーに迎えたデビュー作『はげ山の一夜(Night on Bald Moutain)』(※右上写真)は、ほぼリアルタイムで国内アナログ盤がリリースされたし輸入盤も多く出回ったので、往年のファンならば耳にしたことがある有名アルバムである。楽曲や演奏能力は高い水準にあり、アルバム後半を費やしたムソルグスキー交響曲カヴァーの完成度も高く、EL&Pの「聖地エルサレム」やVDGGの「テーマ1」といった名曲フレーズのセンス良い引用には、マニアならば思わず笑みがこぼれてしまうだろう。当時のビルボード誌が“ブリティッシュ・ロックへのアメリカからの偉大なる回答”と評したのは、決して誇張ではない。何故か正規CD化が遅れ(アナログ盤起こし再発CDがあるので注意)、オリジナル盤の4チャンネル・ミックスの立体的なサウンドが活かされたCDもなかったので、今回の紙ジャケット+最新リマスター+SHM-CDによる再発は待望といえるものである。

コミカルというよりも悪趣味に近いジャケットのせいでスルーされがちなセカンド・アルバム『ツー・ツー(Two, Too)』(※下段写真)も、テクニカルな演奏と軽快なコーラス・ワークにストリングス&ブラス・セクションが踊る傑作なので、ぜひとも聴き直してみたい。すでにオリジナル・アナログ盤や以前に出た再発CDをお持ちの方も、ボーナストラックのために今回の再発は入手する必要がある。クリムゾンの「ピクチャーズ・オブ・ア・シティ」に「21世紀のスキツッオイドマン」を挿入した貴重なライヴ・トラックに加え、おそらく近年の録音と推測されるX-Japan のカヴァー2曲(!)という珍品が入っているからだ。打ち込みをバックにカタコト日本語で「セイ・エニシング」と「ティアーズ」を熱唱するボートラの制作経緯は不明だが、ネタ的にも大変に面白い音源であることは間違いない。[鬼形 智/SD179]

Album: 『Two, Too』BELLE-142267[SHM-CD,紙]/ org.1976 ※同時発売

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