2014年10月16日

ジャクソン・ブラウン6年ぶりの新作『スタンディング・イン・ザ・ブリーチ』:初期の姿と重ね合わせられる作品!

◎ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)の6年ぶりとなる新作が登場した。多分、初期の頃のジャクソン・ブラウンが好きな人にとっては、とても馴染むんではないだろうか。あの頃の純粋に楽曲と詩を生かして必要以上に飾らず、作り込まずに、ストレートに気持ちを伝えようと表現した、あのニュアンスがそのまま反映されているような気がする。音楽的な手法に走らずに原点に戻った、そんな印象さえも受ける。加えて、バッキングで実に的確なプレイを聞かせるヴァル・マッカラム(Val McCallum)、グレッグ・リーズ(Greg Leisz)との有機的な絡みも魅力的だ。

今回の収録楽曲の中で、間違いなく話題になりそうなのは初期のデモ・テイクの中にあった楽曲で、『ソロ・アコースティック第一集(Solo Acoustic, Vol.1)』でも紹介されたオープニング・ナンバーだろう。この新録の面白いところは、彼の真っ正直な性格がよく出ていることだろうか。ザ・バーズ(The Byrds)に触発されて生まれた楽曲の初期衝動をそのまま素直に、見事な程にここに再現して、ケレン味なく堂々と聞かせる。そこまでザ・バーズか? というほどに、その表現のあまりの実直さに驚かされつつ、彼のイノセントな性格が全て集約されているような気がして、そこがまた嬉しい。

一方、詩表現も相変わらずシャープ。たとえば「ザ・ロング・ウェイ・アラウンド(The Long Way Around)」は、デビュー前の“テキーラ・サーキット”の時代の自分を振り返りながらも、そこから巧みにすり替えるように、今はどうなの? とばかりに半ば強引に現実へと引き戻す。ガルフ・コーストの原油流出事故のことを引き合いに出し、暗にその先にある生態系への多大な影響や、沿岸漁業への影響を指摘することなく、さり気なく考えさせる。そして、全米に広がる銃所持の正当化など、現代社会が抱えている諸問題へと話の矛先を変えて行くのだが、そのもって行き方が技あり! とりわけ、銃問題に関してはズバリ核心を突く。1曲の中でのそのメリハリの付け方、その手法の上手さに改めて感心させられる。かと思えば、「ユー・ノウ・ザ・ナイト(You Know the Night)」はてんこ盛りの詩を何やらディラン風にまくし立てたような風情。その異色さに思わず、ン? と思い、クレジットを見るとウディ・ガスリー(Woody Guthrie)の詩にブラウンとロブ・ワッサーマン(Rob Wasserman)が共同で曲を付けた作品だったりして、なるほどと納得してしまう。というわけで、正に聴きどころ、読みどころ満載で楽しませてくれる。[増渕英紀/SD180]

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