2015年1月20日

豪華アーティストが参加した、V.A.『かしぶち哲郎 トリビュート・アルバム~ハバロフスクを訪ねて』!

◎「砂丘」でも「ハバロフスクを訪ねて」でも、ここではカヴァーされていない「20世紀鋼鉄の男」や「気球と通信」でも「バーレスク」でも、思いついた楽曲のどれを取っても、かしぶち哲郎の作る曲は立っている次元がまるで違う。“文学性”、“エロス”、“色彩感”といった言葉だけでは、簡単に説明できない独自の世界観。はちみつぱいのオーディションの時、ドラムとしてやってきたにもかかわらずアコギを抱えて、自作の曲を歌ったというエピソードは有名な話だが実にかしぶちさんらしい。こんな歌を作ることができるアーティストが、もうこの世にいないということは大きな損失ではあるまいか。

最初に登場する矢野顕子の「リラのホテル」の鬼気迫る絶唱が全てを象徴する、かしぶち哲郎トリビュート。続く山本精一の「砂丘」はオリジナルに忠実なスタイルを選んだことが、逆に強烈に“山本精一”を感じさせる。と、細野さん、豊田道倫、佐藤奈々子まではいい。以下“?”な人についてちょっと調べた。入江陽は医大出身の映画音楽も手がける異才SSW、佐藤優介はカメラ=万年筆の人、柴田聡子と組んでいるGOFISHトリオはハードコア・バンド、NICE VIEWのテライショウタによる弦楽二重奏と組んだプロジェクト、北村早樹子は本秀康氏の新レーベルから「マイハッピーお葬式」を出してた人、寺尾紗穂と組んでいる松井一平はアルバム・ジャケットも多く手がけている絵描きさん(作詞やライヴ・ドローイングを担当。ちなみにカヴァーしている「バラは嫌い」は「ノーパンの女王」と謳われたイブちゃんに提供した楽曲だ→佳曲)、岡田有希子の「花のイマージュ」をカヴァーしてるテンテンコは元BISの人(エキゾチックな直球アイドルソング!)。

佐藤奈々子や鈴木さえ子のヴォーカルが聴けるだけでも、相当凄いというか、凄くいい意味で突っ込みどころ満載のカヴァー作。かしぶち作品のカヴァーという枠で集結した多彩そして異才なSSWの一群。そこには明らかな“意志”を感じる。それぞれの確固たる芸風で、かしぶちナンバーをカヴァーすることから立ちのぼってくる香気というか、アロマというか、それは図らずも“何故歌うのか? 何故創るのか?”という根源的な設問へのそれぞれの解答になっている。最後を締めくくるピエール・バルーの「永遠のエントランス」(ピアノをバックにした語り)、そしてライダーズとの最後のセッションとなった未発表曲、「Lily」の強烈な鎮魂感……。♫「物は壊れる人は死ぬ、でも歌は残る。そういう訳さママン」(と、これは慶一さんの歌詞だ)。ちなみにジャケットを担当した谷口史子さんは、『りぼん』出身の漫画家(はっぴいえんどやあがた森魚、ムーンライダーズの熱心なファンだそう。[杉山 達/SD183]

Official Website:
http://kashibuchi.com/
http://www.moonriders.net/