2015年2月11日

“ベル・アンド・セバスチャン”待望の最新アルバム『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』!

◎いまさら好きな人の多いところでこんなこと書けないのだが、本誌ではそれも必要かと。90年代後半以降のスコットランド、とくにグラスゴー周縁の音楽を語る上でベル・アンド・セバスチャン(Belle And Sebastian)、ベルセバの存在を抜きにして考えることはできない。1996年にスチュアート・マードック(Stuart Murdoch)とスチュアート・デイヴィッド(Stuart David)を中心に結成されたが最初から仲間たちが自由に出入りするファミリー的な雰囲気を持ち、それが自然にサウンドにも反映したし、暖かいサークル的な空気を醸し、仲間たちも緩やかなサークル化しつつ刺激的な作品、プロジェクトが生まれていった。

原点はやはり先輩であるオレンジ・ジュース的なギター・ポップを基調としているが、時代の変化、グループや個人の経験値の深まりによって、より普遍的で安定した音楽性を獲得していっている。例えば10CCあたりを源流とするブリティッシュ・ポップの流れやスクイーズに通じるひねりが、自然体の中からしみ出し、さらに軽いダンサブルなアレンジもされて、とても聴きやすく大衆性を備えたものとなってきた。言葉にしたり書くのは簡単だが、実際に音化するのは至難なわけで、その足もとにもたどりつかない例を本誌読者なら沢山知っているはずだ。

そんな彼らのこの新作は通算9枚目となるもので、2010年に出た前作の『ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~(Write About Love)』がノラ・ジョーンズ(Norah Jones)などをゲストに迎えたなかなか華やかなものだったが、その路線をさらに推し進めたアルバムとなっており、先行リリースされた「ザ・パーティ・ライン(The Party Line)」のようなレトロなディスコ・ポップ・タッチのナンバーからストリングスをフィーチャーしたロマンチックな曲、もちろん彼らの基本であるギター・ポップの路線をしっかりと押し進めたものまでヴァラエティに富んでいる。

もう10年以上前になるが、現在では元スクリーミング・トゥリーズ(Screaming Trees)のマーク・ラネガン(Mark Lanegan)と素晴らしいコラボ作を発表したりしているイザベル・キャンベル(Isobel Campbell)が脱退した頃はかなりグループの行く末を心配したけれど、そうした歴史をみごとに滑らかに音の間に埋め込んでいるからこそ、柔らかでポップなんだけど、少しも浮ついたものにはなっていなくて味わい深い。2月の来日でもまた充実したライヴが聞けることは間違いない。[大鷹俊一/SD184]

Belle & Sebastian ‘Nobody’s Empire’

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