2015年4月19日

バッドフィンガーの最終作『セイ・ノー・モア』とジョーイ・モランドの1st『アフター・ザ・パール』がリイシュー!

◎新たに発足した“ワサビ・レコード(Wasabi Records)”の第1弾リリースはバッドフィンガー(Badfinger)関連の紙ジャケによる再発2作である。再結成後のエレクトラでのアルバム『ガラスの恋人(Airwaves)』(1979年)レコーディング終了後、ジョー・タンジン(Joe Tansin)が脱退。ドラムスにピーター・クラーク(Peter Clarke/元スティーラーズ・ホイール)、キーボードにトニー・ケイ(Tony Kaye/元イエス、バジャー、ディテクテイヴ)、セカンド・ギタリストにボブ・シェル(Bob Shell)を迎えプロモーションとツアーを敢行するものの、芳しい成果は上げることができずにエレクトラとの解約も終了。普通はこれでおしまいとなるところだが、トム・エヴァンズ(Tom Evans)とジョーイ・モランド(Joey Molland)はバッドフィンガーの灯りをともし続ける決意をして、トニーを正式メンバーに加え新たにレディオ・レコード(Radio Records)との契約に成功。そしてリリースされたのが『セイ・ノー・モア(Say No More)』(81年/※右上写真)である。

しばしば“悲劇のグループ”と呼ばれるバッドフィンガーだが、各メンバーは最後までバッドフィンガーというグループ形態にこだわり、アルバム制作を求めたというのは、美しくはないとはいえ、ミュージシャンとして自然であり、最後のドロドロ含め周囲がとやかくいう問題ではないだろう。しかし、個人的にふりかえってみても当時はニューウェイヴに没頭しており、聞いたことは聞いたが、印象は薄かったというのが本音。けれど、今回久しぶりに聞いたらこれがなかなかいい。曲はエヴァンズとジョーイが半分ずつ書いているが、タンジン在籍時に彼がエヴァンズと共作したナンバーもある。冒頭こそカントリー・ブギ調でかなり面食らうが、徐々に彼ららしいメロディと濡れたポップネスが溢れ、60年代ポップス風のナンバーなどには思わずウルウル。演奏面ではトニーがオルガン以上にピアノを弾きまくっているのが特徴で彼のホンキートンク調ピアノも魅力のひとつといっていい。ピーター・マックス(Peter Max)のアートと併せ、この機に再評価したい佳作だ。

しかし、『セイ・ノー・モア』発表後エヴァンズとジョーイは袂を分かつことになり互いにバッドフィンガーを名乗ることに。そんな中、83年にジョーイはアストーン(Earthtone)からファースト・ソロ・アルバム『アフター・ザ・パール(After The Pearl)』(※下段②動画)をリリースする。ジョーイが制作を手伝い、同レーベルに在籍していたグループ、マネー(Money)がバックを受け持っているが、翌年にはレーベルが倒産し、いまではレア・レコードの仲間入りしているというこれまた奇禍な作品。ぼくは昔アメリカで運よく安く入手できたが、内容的にはジョーイの英国的センスとマネーのアメリカンな感覚が混ざり合い、中庸的ポップ・ロックとして悪くないというところ。グループの生き残りとしてジョーイはいまもバッドフィンガーの名を継ぎ活動を続けている。[廣川 裕/SD186]

①Badfinger / Hold On

②Joey Molland / All Your Lovin’
CD:同時発売、JOEY MOLLAND『After The Pearl』ワサビ / WSBAC-0002

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