2013年3月22日

独特な英国流ジャズ・ロック・バンド、“ウェブ”の関連2作品が再発された!

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ウェブ『アイ・スパイダー』/サムライ『サムライ』

◎もともとはジャズ側のプレイヤーだったジャック・ブルースやチャーリー・ワッツがロック・バンドで有名になった例もあるように、60年代から70年代初期にかけての英国におけるジャズとロックの関わり方は、ボーダーレスであるというよりもカオス状態であった。ジャズ・ロックといっても8ビートをバックに各人がソロを取るという安易なモノではなく、ジャズ側がロックのダイナミズムを導入した作品を発表したり、ロック側がジャズのコード進行やアレンジ手法を試みたりといったクリエイティヴな空気が横溢していた時代だったといえるだろう。のちにグリーンスレイド(Greenslade)への加入で有名となったデイヴ・ローソン(Dave Lawson)(Key,Vo)は、ロックにジャズの手法を高度に融合させて優美かつ屈折した英国流ジャズ・ロックを生み出した一人だ。ジャジーなアレンジの洗練されたロックといえば、真っ先に想起されるのはスティーリー・ダンであるが、デイヴ・ローソンが在籍したウェブというバンドは、1970年にそれを完成させていたのである。

ウェブ(Web)にとって3作目となる『アイ・スパイダー(I Spider)』(右上写真)。まず引っかかるのは、このバンドが2人の打楽器奏者を擁するという特異な編成だろう。しかも、片方がドラムでもう一方がパーカッションという形でビートを細分化するにとどまらず、楽曲によってはヴィブラフォンで洒落たバッキングがあったり、アフロ・パーカッションのソロが飛び出してくるのだから、一筋縄ではいかない。ローソンが煮え切らないような声質で歌うメロディ・ラインもブルースやロックの常套句から微妙にはずれているし、沈み込むようなメロトロンの音色も不穏な空気を漂わせている。変拍子のリフに乗って管楽器がブロウするパートが一番まっとうに聴こえてくるのだから、いかに本作の屈折度合いが並外れているかがわかるだろう。さらに恐ろしいのは、ボートラ収録のライヴ・ヴァージョンでスタジオ盤が再現されていること。彼らは、どんな裏技を使っていたんだろう?

メンバーの出入りがありグループ名をサムライ(Samurai)に変えて71年にリリースした『サムライ(Samurai)』(下段写真)は、実質的にはウェブの4作目と見なしていいだろう。本作では管楽器奏者が2人に増えたこともあって、ツイン・フルートがメランコリックに彩る楽曲があるなど、前作よりも気だるさと屈折度が増した。楽曲によってはソウル・ミュージック風のテイストが感じられる部分もあるが、基本はクールネスを保った英国流ジャズ・ロック。本作にもボートラでライヴ音源が収録されているが、10分強の組曲を破綻なく演奏する様子はライヴであることを忘れてしまうほどだ。紙ジャケット+SHM-CDで独特な英国流ジャズ・ロックを堪能したい。[鬼形 智/SD161]

CD: SAMURAI『Samurai』BELLE-132061[SHM-CD,紙]2013.2.25