2015年7月29日

カンタベリー・シーンの源泉の一人、デイヴ・シンクレア(Dave Sinclair)のソロ2作品(2011年)がリイシュー!

デイヴ・シンクレア『ストリーム』/『ピアノ・ワークスⅠ:フローズン・イン・タイム』
◎ジミー・ヘイスティングス(Jimmy Hastings)とのデュオ形態で関東~関西~四国をサーキットした“ザ・カンタベリー・テイルズ(The Canterbury Tales)”やクラムボンとのジョイント・ライヴが好評を博したデイヴ・シンクレア(Dave Sinclair)のソロ2作が再発となる。再発といっても今回の2アイテムは2011年リリースの近年作であるのだが、そのときは流通が限られていたために多くのファンにとって入手が難しかったので、国内流通が実現したのは喜ばしい限りだ。

『ストリーム(Stream)』①はシンクレアが制作に5年もの月日をかけた一大プロジェクトで、カンタベリー・ミーツ・京都が生み出した傑作。元々はシンクレアが日本移住のために来日した際にアコースティック作品レコーディングのためのスポンサーが現れて立ち上がった企画だったが、世界中のアーティストに参加してもらいながら制作をすすめるうちにエレクトリックな要素も加わって“デイヴ・シンクレア集大成”的な内容になったという。そのアーティストというのは、ロバート・ワイアット(Robert Wyatt)、ジミー・ヘイスティングス、アンディ・ラティマー(Andy Latimer)、アニー・ハズラム(Annie Haslam)、バーバラ・ガスキン(Barbara Gaskin)、ディヴ・スチュワート(Dave Stewart)……と列記するだけでアルバムの素晴らしさが保証される豪華ラインナップで、とくに当時は病気療養中だったラティマーの幽玄なギター・ソロには身震いさせられた記憶がある。たとえゲスト陣がなかったとしても、シンクレアの美しく繊細なピアノの音色とメロディラインは極上で、名曲「オー・キャロライン(O’Caroline)」が彼のペンによるものだったことを再認識させてくれる。メロディ先行で作曲されたと推測される彼の楽曲に見られる“間”は、やはり現在のデイヴが居を構える京都の環境からインスパイアされたものではないだろうか。本作で聴けるストイックでありながら豊潤な響きと奥行きを感じさせてくれるサウンドは、安易な例えであるにせよ、和の世界を想わせるものであるからだ。

シンクレアが優れたメロディ・メイカーであることを雄弁に物語る作品が『ピアノ・ワークスⅠ:フローズン・イン・タイム(Pianoworks I:Frozen In Time)』②である。彼のピアノとキーボードにヘイスティングスのフルートが加わるインスト作品集となった本作の楽曲は、コードが次々に展開していくにもかかわらずリスナーの耳に残るのはコード進行ではなく豊かなメロディラインのほうであるからだ。シンクレア自身の解説によれば、楽曲は福井県小浜やカンタベリーの街並みや京都の山道からインスパイアされたものであり、当初は歌詞付きで完成を考えていたが、メンデルスゾーン「無言歌集」に倣ってインスト曲集に変更したという。彼が紡ぎだす多彩なピアノの音色がすべてを物語っており、その選択は正解だったといえるだろう。[鬼形 智/SD190]

※CD:『ストリーム』と『ピアノ・ワークスⅠ:フローズン・イン・タイム』下記のURLより購入可
http://diskunion.net/portal/ct/list/0/24443

Dave Sinclair …’Disassociation’ – Nine Feet Underground In Kyoto, Japan.
(New version recorded by Dave of his ‘Nine Feet Underground’ track from Caravan’s ‘In The Land Of Grey And Pink’ album, 1971)

同時発売CD:②『ピアノワークスⅠ: フローズン・イン・タイム』クレセント / CRSCNT001 / 2015.5.13

Official Website:
http://www.dave-sinclair.com/
Official facebook:
https://www.facebook.com/davesinclairmusic