2015年8月18日

“ナッシュヴィル”にスポットをあてたコンピ・アルバム(2CD)登場!:ボブ・ディランの未発表音源を収録!

ヴァリアス ・アーティスト『ディラン、キャッシュ・アンド・ザ・ナッシュヴィル・キャッツ:ア・ニュー・ミュージック・シティ』
◎アメリカ南部で今や最も活気のあるミュージック・シティ、ナッシュヴィルにスポットを当てた2枚組コンピレーション・アルバム。カントリーのメッカと呼ばれたナッシュヴィルは、ロックがメジャーになりミュージック・シーンの中心になってからは、レコーディングの中心はニューヨークとロスになり、ナッシュヴィルは次第に廃れ気味になり旧態依然としたイメージで捉えられるようになっていった。そんなナッシュヴィルに再びスポット・ライトが当たるきっかけを作ったのが、他ならぬボブ・ディラン(Bob Dylan)だった。『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)』(65年)に収録されている「Tombstone Blues」を引き合いに出すまでもなく、ディランの中では南部は特別な存在であったように思う。アメリカを二分した南北戦争、そして白人と黒人の文化がない交ぜとなった共有文化という土壌、ブルース、カントリーの故地。ディランにとって南部は、アメリカという国、大地、文化そのものの原風景でもあるからこそ、それと対峙する意味でも南部へ行く必要性があったのだと思う。

1966年、ディランはアル・クーパー(Al Kooper)とともに南部テネシー州のナッシュヴィルへ飛んでレコーディングを敢行する。言うまでもなく傑作『ブロンド・オン・ブロンド』のレコーディングだ。結局、ディランはこの時期ナッシュヴィルで『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(67年)、『ナッシュヴィル・スカイライン』(69年)、『新しい夜明け(New Morning)』(70年)と計4枚のアルバムを録音。これを契機にナッシュヴィルは再び脚光を浴びることとなる。カントリー・ロックの始まりと言われるボー・ブラメルズ(The Beau Brummels)の『Bradley’s Barn』(68年)を筆頭に、ここに収録されているアーティスト、楽曲はそんなナッシュヴィル・レコーディングによる名作を残したアーティストばかりだ。が、ここで注目すべきはアルバム・タイトルに冠されたザ・ナッシュヴィル・キャッツ(The Nashville Cats)。これは主にナッシュヴィルで活躍したチャーリー・マッコイ、デヴィッド・ブリッグス、ノーバート・パットナムらのスタジオ・ミュージシャンや、アーティストに贈られる称号で、本作収録のエリア・コード615(Area Code 615)を始めとするミュージシャンの総称だった。個々をそれぞれ紹介するスペースはないが、彼らのことを歌った有名なヒット曲があるので、最後にそれを紹介しておこう。ジョン・セバスチャン(John Sebastian)率いるラヴィン・スプーンフル(The Lovin’ Spoonful)が66年に大ヒットさせた名曲で、そのものズバリの「Nashville Cats」だ。このシンプルな歌詞を読んでいただければ、一番判り易いかも知れない。それにしても何故この曲が収録されていないんだろう? シャレで入れるくらいのセンスがあってもいいとも思うのだが……。[増渕英紀/SD190]

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