2015年12月11日

ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)の執念を実感する“The Wall Live”ツアー・ドキュメンタリー映画からのサントラ!

『ロジャー・ウォーターズ ザ・ウォール』
◎結局、あまりのスケールの大きさ故なのか、日本公演は実現しなかったロジャー・ウォーターズが(Roger Waters)2010年から13年にかけて行なった“The Wall Live”、ソロ・アーティストのツアーとしては歴代最高の収益を記録した。あの『ザ・ウォール(The Wall)』を完全再現というのには、ロジャーの執念を強烈に感じるが、とくに公開された映画『ロジャー・ウォーターズ:ザ・ウォール』では、ライヴもそうだが、同じような比重で、イタリアで戦死した祖父の最後の場所を訪れたりといったドキュメンタリーもあって、このプロジェクトにかけるロジャー自身の思いが伝わってきた。

その中から演奏を抽出したサントラの登場だ。ライヴの進行に沿ってステージに壁が積み上がり、ブタが飛んだり、飛行機が激突したり最後にはその壁が崩れ落ちる演出も視覚的に確認するわけにはいかないが、ファンならばさんざん聴き、いろいろな形で体験しているので容易に音と演出が重なるはず。また極めてそうしたスイッチを入れやすいサウンド構成となっているのも大きい。プロデュースを受け持ったナイジェル・ゴドリッチ(Nigel Godrich)は、とくにそこらを意識しながらサウンドを収めたように思える。観客、客席の反応がかなり抑えられているせいか、細かく変化していくステージ上の演出に心砕くよりも音に深く没入できる。

今回のバンドはギターがG.E.スミス(G.E. Smith)、デイブ・キルミンスター(Dave Kilminster)の2人にキーボードがジョン・キャリン(Jon Carin)とハリー・ウォーターズ(Harry Waters)、グラハム・ブロード(Graham Broad)のドラムス、そしてロジャーのベースというシンプルな編成。ヴォーカルにはロビー・ワイコフ(Robbie Wyckoff)、ジョン・ジョイス(Jon Joyce)らが入り、ヴォーカリストとしては弱い部分もあるロジャーをさまざまにサポートしぶ厚い世界を築き上げていく。

繰り返し出てくる「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」や「イン・ザ・フレッシュ」「ラン・ライク・ヘル」など、お馴染みの曲によって物語は鮮やかな膨らみを持って展開する。耳慣れた曲たちであるし、ライヴならではの興奮があるのもわかってはいるつもりだが、聴き進むとそれ以上の新鮮な高揚感がわき上がってくる。これこそロジャーがこだわった完全再現ライヴならではというものなのだろう。やはり、改めて体験したかったと思わされる悔しいライヴ盤だ。デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)は来てくれるよね(笑)。 [大鷹俊一/SD194]

Roger Waters – Comfortably Numb (Live from Roger Waters The Wall)

Roger Waters The Wall – Full Theatrical Trailer

Official Website:
http://rogerwatersthewall.com/
Official facebook:
https://www.facebook.com/rogerwaters/