2016年2月11日

ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)“The Wall Live”の全貌をとらえた映像作品がブルーレイ+DVD化された!

『ロジャー・ウォーターズ ザ・ウォール 』
◎すでにサントラ盤が先行発売されているロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)が2010年から13年にかけて行なった“The Wall Live”は、さまざまな形で話題にされているようにソロ・アーティストのツアーとしては歴代最高の収益を記録した。そのセットのスケールから日本公演は実現しなかったわけだが、それも納得の映像がこれである。

ロジャー本人とショーン・エヴァンス(Sean Evans)によるディレクションで、コーラス、ダンサーなど多くの人が加わったステージをスケール感たっぷりに見せてくれる。『ザ・ウォール』の映像というとやはり1990年のベルリン・ライヴが思い出されるわけで、音的にはヴァン・モリスンやジョニ・ミッチェルらが参加した豪華さには適わないが、あの頃には考えられなかったプロジェクション・マッピングを始め多くのテクノロジーがさらに高度に発達したこの時代に、壁を積み上げ、また破壊していくわかりやすいドラマ性の本タイトルはさらに真価を発揮しており、最後に壁が崩壊していくあたりは圧巻だ。

映像はストレートにライヴを映すだけじゃなくイタリアで戦死した祖父の墓を訪ねるロードムーヴィー的な展開と併走していく。もちろん極めて私的な体験、行為なわけだが、アルバム全体のコンセプト、ライヴと巧みに響き合わせることによって、見る側もすんなりとそこに感情を投じることができる。かの地のイギリス人兵士埋葬地の光景、そこに佇むロジャーを見ていると、どんどん混乱と緊張感を高めていく現在の世界が重なり合ってくるかのようなのだ。またアルバムの物語を現実化するような映像も挟まれるが、違和感がなく、全体で大きな世界を作り出すことに成功している。サンダンス・フィルム・フェスティヴァルなどで絶讃を浴びたのも、そこらが大きかったのだろう。

デイヴ・キルミンスター(Dave Kilminster)、G.E.スミス(G.E. Smith)らによるギター、グラハム・ブロード(Graham Broad)のドラムス、ハリー・ウォーターズ(Harry Waters)のハモンド・オルガンなどバックの演奏もすっかりとこなれきっていて、ロジャーの悠然としたパフォーマンスが加わりこの壮大なプロジェクトを音で動かしていく。ボーナス映像ではデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)、ニック・メイスン(Nick Mason)が参加したO2アリーナの映像も入っているあたりはロジャーからのプレゼントということなのだろう。[大鷹俊一/SD196]

Roger Waters The Wall – Full Theatrical Trailer

Roger Waters – In the Flesh? (Live) [From Roger Waters The Wall]

Official Website:
http://rogerwatersthewall.com/
Official facebook:
https://www.facebook.com/rogerwaters