2017年8月24日

現ジャパニーズ・プログレ・シーンに突如現れた、話題の“MIZUKI da Fantasia”ロング・インタヴュー[パート2(後編)]掲載!

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MIZUKI da Fantasia Interview by STANGE DAYS(宮脇浩/池田聡子)

◎現在、プログレ・ファンの間で、ちょっとした話題になっているグループ、MIZUKI da Fantasia(ミズキ・ダ・ファンタジーア)。当初youtubeで公開された「サクラサク道」が、“本格的プログレッシヴ・ロック”という触れ込みとは裏腹に、爽やかな歌曲だったため、プログレ・ファンの間からは、疑問の声が上ったが、やがてサウンド・クラウドで公開された楽曲を聴いて驚かされたリスナーも多かったはずだ。さらにCDショップの店頭で受け取った4曲入りのフリー・ディスクを聴いたプログレ・ファンは2度目の衝撃を味わったはずだ。なぜならば、そこに収録されていたのは、豊穣なヴォーカルを中心とした重厚で繊細な稀に見る本格的なブリティッシュ・テイスト溢れるプログレッシヴ・ロック・サウンドだったからだ。一体、MIZUKI da Fantasiaってなんだ、という噂がプログレ・ファンの間で広がりを見せる中、ついに2017年7月26日にデビュー・アルバム『幻想の一夜 〜 In memory of fantasy』がリリースされた。アルバムは某有名ショップで一時品切れになるほどの勢いで売れ続け、発売後一週間にして、追加プレスがかかったという。プロデューサー、九尾一郎氏に、彗星の如く現れた謎多きバンド、MIZUKI da Fantasiaについて聞いた。

[パート2]
──MdFがネットに上がり、ファンドがスタートして、Youtubeに「サクラサク道」が登場しました。紹介のされ方はプログレッシヴ・ロック。でも、あのPVを見た人は“どこがプログレなんだ?”って思ったはずです。どうして「サクラサク道」だったんですか? それにMIZUKIさんのあの衣装はまるでアイドルというか、それこそAKB48にいてもおかしくないアイドル感がでていました。

Q.I.「う~ん、厳しいなぁ~。確かにそうですね。もともと、「サクラサク道」は、2月頃、桜の花が満開になって、花見の季節がやってくる前に出したかった。でも、遅れてしまった(笑)。ただし、あの曲でMIZUKIというアイドルぽい子がいるというのを認識してもらったと思います。あと、なんでこれをプログレというのか、という疑問を持ってもらうということをしたかった。キング・クリムゾンの4枚目のアルバム『アイランズ』に収録されている「プレリュード:カモメの歌」は、それだけ単体で聴いたらロックではない、プログレでもないですね。でも『アイランズ』には欠かすことのできない曲です。「サクラサク道」はある新人が桜の季節に出した歌のような体裁をとっているけど、アルバム『幻想の一夜』には欠かせない曲なんです。プログレッシヴなものは、ロックだけではない、ということを知ってもらいたかった。最初は「幻想の一夜」のPVから行こう、という計画だったんですが、コンセプトは良かったんだけど、資金的な問題があって(笑)、スタジオで撮れて、それらしく仕上がるもの、ということで「サクラサク道」のPVから行きましょう、ということになりました。でも、それは、MIZUKIが一人でも成り立つという、AKB48や乃木坂46にいてもおかしくはないというバックボーンがあったからこそできたことですね」

──なるほど。それでプログレ/ハード・ロック然とした「マボロシノアイ」、「奇跡の国へようこそ」を前面に出さなかった。

Q.I.「わからないけど、もしかしたら、そういった曲や「蒼の時代」のようなメロトロンとアープ・シンセサイザー全開の曲の方がプログレ・ファンには良かったのかもしれないけど、聴いてもらえる幅が狭くなるような気がしました。決して万人受けを狙っているわけではないんですが、少しでも多くの人に聴いてもらいたかった。少なくともMIZUKIはそう考えています」

──「サクラサク道」を聴いた人が、サウンド・クラウドに行って「幻想の一夜」、「奇跡の国へようこそ」、「蒼の時代」を聴いて、ビックリしたという話は聞きますね。「マボロシノアイ」は詩・曲調がカルメン・マキ&OZを彷彿させるという声があります。

Q.I.「そうみたいですね。カルメン・マキさんは尊敬するヴォーカリストの一人です。あれほどロックな人はいないでしょう。未だに彼女を超えるヴォーカリストは出てきていないです。マキ&OZの再結成ライヴも見ましたが、震えました。まったく衰えていない!! 「サクラサク道」からサウンド・クラウドへの動線は、なんの意図もなかったんです。とにかく聴いていて欲しかったんです。今の時代にこんなことをやってるアーティストがいるということを主張したかったんです」

左から:Anna Hardy、MIZUKI

MIZUKI da Fantasia (Mk I):Anna Hardy+MIZUKI

──ところで九尾さんは、MdFとはどのような関係なんですか?

Q.I「僕は20歳の頃には作曲家を目指してたんです。十代の頃から曲を作り始めていて、最初はバンド活動をしていましたが、やがてメンバーから外れ、曲だけを作るという変なポジションになったんです。ちょっとだけ作曲でお金をもらったりしてました。英語を勉強して、海外に行って、音楽大学に入って……という夢を抱いていましたね。挫折しましたけど(笑)。もの凄く良く言えば、キング・クリムゾンのピート・シンフィールドとか、プロコル・ハルムのキース・リードみたいな感じかな。なんていうか、ステージに上がって演奏はしたくないけど、音楽はやりたい、みたいな。さらに、アートワークやコンセプトも考えたい、みたいな(笑)。とはいえ、ただあれやれこれやれ、っていう業界プロデューサーじゃなくって、実際詩も書くし、作曲もするという、そして時には演奏もするという、メンバーに非常に近い裏方っていう……。あるいは、裏方というメンバーかな? もう一つ、九尾一郎というのは、複合体の名前です。この名義で活動するときは、複数の人間が関わっているときです。一人ではありません。それが誰かは秘密ですが……(笑)。多分ほとんどの人にはバレてますけど(笑)」

──アランパーソンズ・プロジェクトですか?

Q.I.「ちょっと、というか、かなり違います。アランパーソンズ・プロジェクトの作曲のメインは。エリック・ウールフソンだからね。アランパーソンズは曲は書かないよ」

──MIZUKI da Fantasiaが実際に動き出したのはいつ頃からですか?

Q.I.「楽曲そのものは、F.R.O.の時に、アルバムを作りたい、って思って30曲ぐらい作りました。ただ、音源のレベルまで到達していなかった。その中から3曲だけをレコーディングしましたがリリースされていません。後の27曲はそのままだったので、2016年になってコンピュータにピアノで主旋律とコードを入れ、それをことあるごとにMIZUKIに聴いてもらい、また彼女のアドヴァイスを取り入れながら形にしていきました。アルバム・タイトル曲「幻想の一夜」は、その典型です。最初は58秒のイントロのようなものだったんですが、それに詩をつけ曲をつけ、転調したり移調したり、フックを入れたり、さらにバッサリと不要な部分を切ったりしました(笑)。最初どんな曲だったのか覚えていません(笑)。MdFがスタートしたのは、2015年の暮ですが、2016年の2月まではMdFを名乗ってはいませんね。Fantasy Rock Orchestraの残骸、その燃え滓からはじまったので、from Fantasy という感じの名前にしたかった。それを大好きなイタリア的雰囲気を入れて、レオナルド・ダ・ヴィンチよろしく、ミズキ・ダ・ファンタジーア(ファンタジー村のミズキさん)にしました。イタリア語に詳しい友人が、直接イタリアの知り合いにメールをして、おかしくないかどうかを確認してくれたんです」

──レコーディングそのものはどのようにして行ったんですか?

Q.I「最初はきちんとしたバンドを作ろうとしたんです。パーマネントなやつね。でもそれは難しいということがわかった。バンドは自然発性的に集まらないかぎりは、誰かがまとめ役をやらないといけない。MIZUKIだけでも訳がわからないことを言う宇宙人のような存在なのに、それが何人もいて、それを束ねる役割を僕がするなんて無理だと思ったんです。50歳を過ぎて、いきなり5人の子供の父親になるようなものでしょう(笑)。それに彼らは、“ヤバイ”、“超ヤバイ”、“オニヤバイ”の3つの言葉で会話します。一つの言葉にたくさんの意味、否定も肯定も含ませ、さらにシチュエーションによっても意味が違ってくる。それが5倍になることを考えると……。ということで、まずは二人で始めました。そして、仮歌を録るたびに、少しずつ調整していって、ある程度見えたところで、尊敬するYuka & Chronoshipのベーシスト田口俊さんに相談し、クロノシップのギター(宮澤崇)とドラムス(田中一光)に手伝ってもらいました。僕がその3人とキーボードとして、結果として共演することになった「蒼の時代」という曲がありますが、実はあの曲は、その3人とやりたいがために作った曲なんです。3人の強固な演奏に、僕のシンセとメロトロン、Annaさんのピアノが絡んだらどんなに素晴らしいだろう、という感じで作りました」

──「蒼の時代」はプログレ・ファンには受けがいいと聞きました。

Q.I「嬉しいです!! 涙が出ますね」

──さきほどコンピュータにピアノを入れたって聞きましたが……。

Q.I.「3人に音を引き渡す時点では、キーボードは全て弾き終わっていて、ストリングスのアレンジも、リズム隊のラフも作り終えていました。一光さんにはスタジオに来てもらってドラムスを叩いてもらいましたが、田口さん、宮澤さんにはご自宅のスタジオで、そのデータに被せるようにベースとギターを弾いてもらいました。なので、ドラムス、ベース、ギター、ピアノと、一部のシンセは生音です。それをスタジオで聴きながら、MIZUKIが歌を入れました。だから、普通といえば普通のレコーディングです」

──Anna Hardy(アンナ・アルディ)さんは?

Q.I.「ある日、MIZUKIが路上ライヴをやりたいって言い出したんです。それで、彼女が以前ある音楽家にお世話になっていたときに一緒にライヴをやっていた人がいて、その人は音楽大学で現代音楽を勉強した、バリバリのピアニストだ、っていうんです。なんかハーフっぽいよ、ってMIZUKIは言うんです。で、MIZUKIからAnnaさんに会って、頼んでみてくれって言われたんです。それで一回みんなでご飯を食べようということになって、僕の家に来てもらい、妻の作ったエビフライを食べながら4人(MIZUKI、Anna、僕、僕の妻)」で話をしました。気難しくて変な人が来ると思っていたら、もの凄いフェロモンを放つピアノの先生が来たので、ビックリしましたね(笑)。MIZUKIとAnnaさんのコンビも変だし(笑)。僕は彼女らを見て、“日本のプログレ界のアイドルと愛人”というキャッチフレーズを思い立ったんです(笑)。案の定Annaさんにはかなり怒られました。でもその日からAnnaさんは、MdFのメンバーになることが決まりました。そして僕はAnnaさんの“パシリ”となったわけです(笑)。MdFはいろいろなところでライヴをするために、アメーバーのように人数が変わります。MIZUKIとAnnaはMk I(マーク1)、そこにベースとドラムスのリズム隊が加わるとMk II(マーク2)、さらにギタリストが加わって5人になるとMk III(マーク3)、そしてもう一人のキーボードが入って6人編成のMk IV(マーク4)がMdFの完成形です。このフォーメーションであれば、CDの分厚いサウンドが再現できます。早くこのフォーメーションで本当のMIZUKI da Fantasiaの素晴らしさをファンの皆さんにお見せしたいと思っています。現在(2017年7月末時点)はMk IIの4人編成となっています。6人編成のステージでは、Annaさんがピアノとメロトロン、MIZUKIがシンセサイザーとベース・ペダルを担当します。そして、もう一人のキーボードがメロトロン、シンセ、エレピを弾く予定です。あとは、ベース、ギター、ドラムスです」

TOP_OFFICIAL BOOTLEG

CD:『OFFICIAL BOOTLEG -10 Naked Unmixed Songs』2017年9月6日発売

──7月30日に開催したデビュー・イヴェントはチケットがソールド・アウトだったんですね。

Q.I.「とても狭い会場でしたが、チケットは売り切れました。また、この日は初めての4人編成(Mk II)のステージだったんですが、割と上手くいったような気がします。初めて4人で演る「マボロシノアイ」「奇跡の国へようこそ」は見ていてとてもスリリングでした。当日券を期待して会場に来ていただいたのにもかかわらず、入場できなかった方には申し訳なかったです」

──6人編成のフォーメーション、Mk IVでのライヴはいつ頃ですか?

Q.I.「早ければ、今年の終わり頃。少なくとも、5人編成のMk IIIでのライヴは年内にできるような気がします」

──今後の予定を教えてください。

Q.I.「まずは、アナログ盤を作ります。内容は『幻想の一夜~In memory of fantasy』とほぼ同じ内容ですが、3曲ほど入れ替えがあります。よりプログレッシヴ・ロック・アルバムに接近させようという意図です。ジャケットはポスターやチラシで使った、ロジャー・ディーンが作ってくれたロゴを配したものになります。また、それと同内容のCDが付きます。つまり、僕が考える、MIZUKI da Fantasiaのプログレ・アルバム(CD)がようやく完成するというわけです。ダブル・ジャケットで、贅沢な作りです。ファースト・アルバムを気に入ってくれた人は、絶対予約してください。近いうちに詳細を発表します。限定枚数なので、枚数に達したらそこで販売は終了となりますので気になる方は、お早めに申し込みください。アナログのレコードは、10月末にお届けできると思います。それから、11月頃に、アルバムのサウンドに近づける5人編成でのライヴをやりまして、同時に次回作収録曲2曲を収めたフリーCDの第2弾の配布を予定しています。そして、2018年の2月に7曲入りのミニ・アルバム『薔薇の名前』を発表し、6人編成のMdFでアルバムをそっくりそのまま再現しようと思います。「蒼の時代」の分厚いメロトロン・サウンドが流れる中、幕がゆっくりと上がっていく光景が目に浮かびます。Annaさんの妖艶で陰りのあるピアノとパワフルなMIZUKIのボーカルが会場に響き渡るのを、どうか楽しみにしていてください。そして、2018年の7月26日にセカンド・アルバムのリリースを予定しています。セカンド・アルバムの制作はすでにスタートしています。その中の数曲のアブリッジド・ヴァージョンは年内にサウンド・クラウドで公開予定です。またセカンド・アルバムに向けての2回目のファンドを近々スタートさせますのでよろしくお願いします」


●ファースト・アルバム『幻想の一夜~In memory of fantasy』主な取り扱い店
・ディスクユニオン(新宿ブログレッシヴ・ロック館)
http://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_progre
・ワールドディスク http://wdisque.shop-pro.jp
・ガーデンシェッド http://www.gardenshedcd.com
・タワー・レコード(新宿/渋谷店)
http://tower.jp/store/kanto/Shibuya
http://tower.jp/store/kanto/Shinjuku
・カケハシレコード https://kakereco.com

●『OFFICIAL BOOTLEG -10 Naked Unmixed Songs』
発売日:2017年9月6日
内容:未発表曲10曲入り、トータル・タイム 39分。
価格:1,500円(+税)
仕様:CD、通常ジュエル・ケース、二つ折りインナー、曲解説付き
備考:350枚限定、ナンバリング入り
ショップ限定販売 : ディスクユニオン、ワールド・ディスク、カケハシ・レコード、ガーデン・シェッド
※ライヴ会場限定販売予定

Official Facebook:
https://www.facebook.com/Mizuki-da-Fantasia-425003941193088/